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東京みやぎ石巻圏人会 石巻市・東松島市・女川町の出身者・ゆかりの会
交流会

山崎泰央石巻専修大学教授講演「被災地域の創業活動」~東京みやぎ石巻圏人会第3回交流会~

東京みやぎ石巻圏人会主催の「第3回交流会」が2016年9月17日、東京・銀座で開催され、山崎泰央石巻専修大学経営学部教授が「被災地域の創業活動」と題して講演を行いました。以下に要旨を紹介します。

講演要旨

震災後の創業活動は2012年に「内閣府復興支援型地域社会雇用創造事業」からはじまった。この事業は東日本大震災からの復興に資する起業と雇用を創造するという目的で実施された。被災3県で12事業者が支援団体として活動していた。

石巻〜気仙沼エリアでは7事業者が活動し、132件の創業を支援した。

しかし、支援の体制をみると創業支援ノウハウのほとんどは外部からの「持込」であった。そのため事業が終わると支援者とともに創業支援ノウハウは持ち去られた。結果として、地域にはノウハウは残らなかった。

その後、創業支援は2013年単年度事業として「宮城県震災復興起業支援業務」が、2014年からは「石巻市創業支援事業」が実施されて現在に至っている。こうした事業には地元の組織が委託を受けて支援業務の実施主体となっているが、創業支援ノウハウの多くは外部からの専門家に頼るなど「持込」状態が続いている。

地域の内発的成長を促すには、専門知識・ノウハウの内部蓄積が必要とされるが、どの組織も創業支援の専門家を育成するという方針を持っていない。創業支援機関とはいえ外部の専門家を配置したり呼び込んだりしているだけで、その実は「器」として機能しているに過ぎない。

地方と呼ばれる地域において、人材がいないという嘆きを良く耳にするが、実際は地域以外の専門家に頼っているばかりで、自分たちで育成をする努力をしていないのが現実である。一方で、これまでの創業者を見ると、その多くは生業的なコミュニティ・ビジネスであり、サービスも顧客も地域で完結するものが多く事業の拡張性に乏しい。

地域の発展を目指すにあたって、どのようなビジネスの創業を支援するのか、以下の3つの視点から方針をよく考える必要がある。

1つ目は、創業支援の基本的思想として「数を撃つ」のか「テーマを絞る」のかという視点、2つ目は、創業促進の方向として「ノウハウ蓄積を図り内発的な成長を目指す」のか、「ノウハウも創業者も外部から呼び込む」のかという視点、3つ目は、支援対象となる創業者のビジネスモデルについて「生業的、非拡張的なコミュニティ・ビジネス」なのか、「成長性、拡張性のあるベンチャー・ビジネス」なのかという視点である。このどちらか一方を選択するのではなく、これら視点を両極端に置いて、どの位置を選択するのか、地域においてステークホルダーを巻き込んでよく考える必要がある。

講師プロフィール

山崎 泰央(やまざき やすお)

石巻専修大学経営学部教授 経営史(企業家史)、ベンチャー・ビジネス論

神奈川県出身。玉川大学農学部卒。

民間企業に就職後、法政大学大学院社会科学研究科博士課程 修士(経営学)。

松山大学経営学部准教授、石巻専修大学准教授を経て2013年から現職。

同年「復興ボランティア学」を開講し、石巻のみならず各地でワークショップを開催。フィールドワーク「石巻市開成・南境地区仮設住宅の生活実態調査」を継続している。

著書「日本における1970年代ベンチャー・ビジネス論」「ケースブック日本の起業家」(共著)ほか